【2025年最新】吉川英治のおすすめ小説ランキングTOP20

吉川英治とは？国民的歴史作家の生涯と作品の魅力

吉川英治（よしかわ えいじ）は、日本の「国民的作家」と称される小説家です。 1892年（明治25年）に神奈川県で生まれ、1962年（昭和37年）に70歳で亡くなるまで、数多くの歴史小説を世に送り出しました。 代表作には『宮本武蔵』『三国志』『新・平家物語』などがあり、その多くが今なお幅広い世代に愛され続けています。

家庭の事情で小学校を中退し、若い頃から様々な職業を経験したという苦労人でもあります。 その経験が、彼の作品に登場する人物描写に深みを与えているのかもしれません。 1926年の『鳴門秘帖』で人気作家となり、特に1935年から連載が始まった『宮本武蔵』は多くの読者を獲得し、大衆文学の代表作となりました。 1960年（昭和35年）には文化勲章を受章しています。

吉川英治の作品の魅力は、なんといっても史実を基にしながらも、登場人物たちが生き生きと描かれている点にあります。 巧みなストーリーテリングと読みやすい文章で、歴史上の人物がまるで目の前にいるかのように感じられ、壮大な人間ドラマに引き込まれます。 歴史の知識がなくても夢中になれる面白さで、読者を最後のページまで魅了し続けるのが吉川文学の大きな特徴です。

吉川英治のおすすめ小説ランキングTOP20

ここからは、数ある吉川英治作品の中から、特におすすめの小説をランキング形式でご紹介します。

不朽の名作から、知る人ぞ知る傑作まで、幅広く選びました。壮大な歴史ロマン、手に汗握る剣豪たちの戦い、そして人間味あふれる登場人物たちの物語に、きっとあなたも夢中になるはずです。気になる作品を見つけて、ぜひ手に取ってみてください。

1位: 『三国志』

吉川英治の代表作として、まず名前が挙がるのがこの『三国志』です。中国の歴史小説『三国志演義』をベースに、吉川英治ならではの視点と筆致で、後漢末期の乱世を駆け抜けた英雄たちの物語を描いています。

劉備、関羽、張飛の桃園の誓いから始まり、天才軍師・諸葛亮（孔明）の活躍、そして魏・呉・蜀の三国が鼎立し、やがて終焉を迎えるまでの壮大な歴史ドラマが繰り広げられます。個性豊かな武将たちが織りなす人間模様や、手に汗握る戦の駆け引きが、難解な歴史物語を非常に読みやすく面白いエンターテイメントに昇華させているのが最大の魅力です。

これから吉川英治作品を読んでみようという方にも、歴史小説の入門編としても最適な一冊と言えるでしょう。

2位: 『宮本武蔵』

『三国志』と並び、吉川英治の不朽の名作として知られるのが『宮本武蔵』です。剣豪・宮本武蔵が、悩み苦しみながらも剣の道を極め、人間的に成長していく姿を描いた長編小説です。

単なる剣豪小説にとどまらず、武蔵が「剣禅一如」の境地を求めていく求道者としての側面が深く描かれています。 佐々木小次郎との巌流島の決闘をはじめとする数々の名場面はもちろん、お通との恋模様など、人間・武蔵の魅力が存分に描かれているのが特徴です。

「我以外皆我師」など、現代にも通じる数々の名言が散りばめられており、人生の指南書として愛読するファンも少なくありません。一人の若者がいかにして大剣豪へと成長していったのか、その生涯を追体験できる壮大な物語です。

3位: 『新・平家物語』

平家一門の栄華と没落を、平清盛を主人公として壮大なスケールで描いた歴史大作です。この作品で吉川英治は菊池寛賞を受賞するなど、戦後の代表作として高く評価されています。

従来の『平家物語』が持つ無常観だけでなく、新しい時代を切り開こうとする人々のエネルギーや、動乱の世に生きる様々な階層の人々の姿が生き生きと描かれています。平家だけでなく、源氏や後白河法皇、庶民に至るまで、多彩な登場人物たちが織りなす人間ドラマが大きな魅力です。

全16巻（文庫版）と非常に長編ですが、それを感じさせないほど物語に引き込まれ、読み終えた後には大きな感動と歴史の流れを体感できるでしょう。

4位: 『私本太平記』

日本の歴史上、複雑で分かりにくいとされる南北朝時代を舞台に、足利尊氏を主人公として描いた長編歴史小説です。 これまで逆賊として語られることの多かった尊氏を、新たな視点から人間味あふれる魅力的な人物として描き出しています。

後醍醐天皇や楠木正成、新田義貞といった時代のキーパーソンたちとの関係や、武家と公家の対立、そして肉親との争いなど、動乱の時代を生きる人々の苦悩や葛藤が深く描かれています。

『新・平家物語』を書き終えた吉川英治がすぐに取り掛かった作品としても知られ、その筆致は円熟の極みに達しています。 日本の歴史の転換点を、壮大な人間ドラマとして楽しむことができる一作です。

5位: 『新書太閤記』

農民の子から天下人へと駆け上がった豊臣秀吉の生涯を描いた、痛快な立身出世物語です。大河ドラマの原作にもなった作品で、多くの読者に親しまれています。

「日吉」と呼ばれた自由奔放な少年時代から、織田信長に仕え、その利発さと行動力で次々と功績を上げていく姿が生き生きと描かれています。 秀吉の人間的な魅力や、人を惹きつける才能が巧みに表現されており、読者はまるで秀吉と共に天下統一の道を歩んでいるかのような気分を味わえます。

数々の困難を知恵と行動力で乗り越えていく秀吉の姿は、現代を生きる私たちにも勇気と活力を与えてくれます。夢を追いかけることの素晴らしさを教えてくれる、希望に満ちた物語です。

6位: 『鳴門秘帖』

吉川英治が人気作家としての地位を確立するきっかけとなった、初期の代表作です。 阿波（現在の徳島県）を舞台に、幕府の隠密と謎の剣士たちが、藩の秘密を巡って死闘を繰り広げる伝奇時代小説です。

虚無僧姿の美剣士・法月弦之丞と、彼を慕うお千絵、そして弦之丞を追う甲賀の忍者たち。魅力的な登場人物たちが、手に汗握る冒険とスリリングな展開を繰り広げます。次々と現れる謎や、剣と知略がぶつかり合う戦いは、読者を飽きさせません。

歴史小説とは一味違った、エンターテイメント性あふれる作風が特徴です。吉川英治の巧みなストーリーテリングの原点を味わうことができる一冊として、今なお多くのファンに愛されています。

7位: 『親鸞』

浄土真宗の開祖である親鸞の生涯を、深い人間愛と求道の精神と共に描いた作品です。吉川英治の絶筆（未完）となったことでも知られています。

貴族として生まれながらも、世の無常を感じて出家し、法然上人のもとで教えを学ぶ親鸞。既存の仏教界からの弾圧や、流罪といった苦難に見舞われながらも、ひたすらに民衆救済の道を模索し続ける姿が感動的に描かれています。

宗教小説という枠を超え、一人の人間が悩み、苦しみながらも自らの信じる道を貫こうとする普遍的な物語として、多くの読者の心を打ちます。未完でありながらも、その崇高なテーマと静かな筆致は、吉川文学の中でも独特の輝きを放っています。

8位: 『新・水滸伝』

中国の四大奇書の一つである『水滸伝』を、吉川英治が日本人向けに分かりやすく、より面白く翻案した作品です。腐敗した役人たちに反旗を翻し、梁山泊に集う百八人の好漢たちの活躍を描きます。

原作の持つ豪快な魅力を活かしつつも、複雑な人間関係や物語の展開を整理し、一人ひとりのキャラクターをより深く掘り下げて描いているのが特徴です。血沸き肉躍るアクションシーンだけでなく、好漢たちの間に芽生える友情や葛藤といった人間ドラマも丁寧に描かれています。

『三国志』と同様に、中国の古典に馴染みがない読者でも、すんなりと物語の世界に入り込めるように工夫されています。痛快な英雄たちの物語を読みたい方におすすめの一作です。

9位: 『平の将門』

平安時代中期、朝廷に反旗を翻した「新皇」として知られる平将門の生涯を描いた歴史小説です。一般的には朝敵、反逆者としてのイメージが強い将門ですが、吉川英治は彼を理想に燃え、民衆の苦しみに心を寄せる魅力的な人物として描いています。

なぜ将門は巨大な朝廷に立ち向かうことになったのか。その背景にある一族内の争いや、当時の社会の矛盾、そして将門自身の葛藤が丁寧に描かれており、読者は彼の行動に共感と理解を寄せることができます。

歴史の敗者として語られがちな人物に新たな光を当て、その人間的な魅力に迫った作品です。短いながらも、吉川英治の人間描写の巧みさが光る一冊と言えるでしょう。

10位: 『上杉謙信』

「軍神」と称され、戦国時代において最強とも謳われた武将、上杉謙信の生涯を描いた作品です。その圧倒的な強さだけでなく、信仰心と義理人情に厚い、人間味あふれる謙信の姿が魅力的に描かれています。

宿命のライバルである武田信玄との川中島の戦いをはじめ、数々の戦いが臨場感たっぷりに描かれる一方で、戦のない世を願い、毘沙門天を深く信仰する謙信の内面にも光が当てられています。

なぜ彼は戦い続けたのか、その義の心とは何だったのか。戦国という乱世を駆け抜けた孤高の英雄の、知られざる苦悩や人間性に触れることができる一作です。

11位: 『黒田如水』

豊臣秀吉の天下統一を支えた天才軍師・黒田官兵衛（如水）の生涯を描いた物語です。知略に長けた軍師としての活躍はもちろんのこと、キリシタン大名として信仰に生きた彼の内面にも深く迫っています。

織田信長、豊臣秀吉、徳川家康という三人の天下人に仕えながら、その才能を恐れられもした如水。彼の卓越した先見性と、時として非情にも見える判断の裏にある苦悩が、見事に描き出されています。

戦国時代を「軍師」という視点から楽しむことができるのが、この作品の大きな魅力です。知将の生き様を通して、乱世を生き抜くための知恵と戦略を学ぶことができるでしょう。

12位: 『源頼朝』

鎌倉幕府を創設し、武家政権の礎を築いた源頼朝。この作品では、冷徹な政治家というイメージだけでなく、人間としての頼朝の苦悩や孤独、そしてリーダーとしての覚悟が描かれています。

伊豆での流人生活から始まり、弟・義経や木曽義仲ら源氏の武将たちを率いて平家を滅ぼし、新たな時代を築き上げるまでの道のりを描きます。華々しい戦の裏側にある、非情な決断を下さなければならない為政者の苦しみが浮き彫りにされています。

弟・義経との確執など、家族でありながら敵対せざるを得なかった悲劇も丁寧に描かれており、物語に深みを与えています。組織のトップに立つ人間の孤独と決断の重さを感じさせる一作です。

13位: 『剣難女難』

吉川英治が初めて「吉川英治」のペンネームを使った作品です。この作品で人気を得て、後の『鳴門秘帖』で人気作家としての地位を確立しました。剣の達人たちが、謎の美女を巡って争いを繰り広げる、痛快な物語です。

冒険、活劇、そしてロマンスといったエンターテイメントの要素がふんだんに盛り込まれており、難しいことを考えずに楽しむことができます。

後の重厚な歴史小説とは趣が異なりますが、読者を物語に引き込むストーリーテリングの巧みさは、この頃からすでに確立されています。吉川英治の原点ともいえる、純粋な娯楽小説を味わいたい方におすすめです。

14位: 『江戸三国志』

江戸時代を舞台に、旗本の若者、謎の浪人、そして町娘といった様々な身分の人々が、巨大な陰謀に立ち向かっていく群像劇です。タイトルに「三国志」とありますが、中国の三国志とは直接の関係はなく、三つの勢力が入り乱れて争う様を描いています。

個性豊かで魅力的なキャラクターたちが、それぞれの正義や目的のために活躍する姿が生き生きと描かれています。友情、恋愛、裏切りといった人間ドラマが、物語に厚みと面白さを加えています。

歴史上の大事件を扱うのではなく、江戸の市井に生きる人々の視点から物語が展開されるのが特徴です。血気盛んな若者たちの冒険活劇として、気軽に楽しむことができる作品です。

15位: 『柳生月影抄』

徳川家に仕えた剣術指南役、柳生一族の活躍を描いた剣豪小説です。史実をベースにしながらも、フィクションの要素を大胆に取り入れ、手に汗握る剣の世界を描き出しています。

主人公は、柳生新陰流の極意を巡る争いに巻き込まれていく若き剣士。柳生十兵衛をはじめとする実在の剣豪たちも登場し、物語を盛り上げます。一瞬の隙が命取りになる、剣士たちの緊迫した戦いの描写は圧巻です。

剣に生き、剣に死ぬ者たちの宿命と、その裏にある人間ドラマが描かれています。剣豪たちの生き様や、流派の誇りをかけた戦いに興味がある方にはたまらない一作でしょう。

16位: 『梅里先生行状記』

「水戸黄門」として知られる徳川光圀をモデルにした、人情味あふれる時代小説です。梅里先生（光圀）が、お供を連れて諸国を旅しながら、各地で起こる事件を解決していく姿を描きます。

テレビドラマでおなじみの「諸国漫遊」とは異なり、この作品では『大日本史』編纂という大きな目的を持った、思慮深い学者としての一面が強く描かれています。もちろん、悪を懲らしめる痛快な場面もあり、読者を飽きさせません。

旅の途中で出会う様々な人々との心温まる交流や、梅里先生の深い知識と人徳が光る物語です。派手な活劇よりも、じっくりと人情話を楽しみたい方におすすめの作品です。

17位: 『忘れ残りの記』

この作品は歴史小説ではなく、吉川英治自身の少年時代から青年期までを綴った自伝的随筆です。家の没落により小学校を中退し、様々な職業を転々としながらも、文学への夢を諦めなかった日々のことが赤裸々に語られています。

国民的作家となるまでの道のりがいかに険しいものであったか、その苦難の時代を支えた人々との出会いや、読書への情熱が生き生きと描かれています。彼の作品の根底に流れる、人間への温かい眼差しや、逆境に負けない精神の源泉を垣間見ることができます。

吉川英治という作家の人間性に触れることで、彼の小説をより深く味わうことができるようになるでしょう。ファン必読の一冊です。

18位: 『高山右近』

戦国時代に生きたキリシタン大名、高山右近の生涯を描いた物語です。武将としての生き方と、キリスト教の信仰との間で葛藤する右近の姿が克明に描かれています。

豊臣秀吉によるバテレン追放令により、大名の地位を捨てるか、信仰を捨てるかという究極の選択を迫られた右近。彼は全ての領地と財産を捨てて、信仰に生きる道を選びます。その潔い生き様は、多くの人々の胸を打ちます。

信念を貫くことの尊さと、そのために払われる犠牲の大きさを問いかける作品です。戦国時代という激動の時代に、信仰を心の支えとして生きた一人の武将の、気高い魂の物語です。

19位: 『大岡越前』

江戸町奉行として知られる名奉行、大岡越前守忠相の活躍を描いた捕物帳です。数々の難事件を、人情味あふれる裁きと鮮やかな推理で解決していく姿が痛快に描かれています。

「大岡裁き」として知られる名裁判の数々が、吉川英治の筆によって生き生きとした物語に生まれ変わっています。庶民の立場に寄り添い、法だけでなく人情を重んじる忠相の姿は、まさに理想の上司像と言えるかもしれません。

1話完結型の短編が多く収録されているため、気軽に読み進めることができます。江戸の町の雰囲気を感じながら、ミステリーと人情話を楽しめる、エンターテイメント性の高い作品です。

20位: 『治郎吉格子』

江戸時代に実在した義賊、鼠小僧次郎吉を主人公にした物語です。大名屋敷から千両箱を盗み出し、貧しい人々に分け与えるという彼の活躍を、人間味豊かに描いています。

単なる義賊としての活躍だけでなく、遊び好きで、どこか憎めない人間・治郎吉の魅力が存分に描かれているのが特徴です。彼を取り巻く江戸の町人たちとの交流も、物語に温かみを加えています。

権力に立ち向かい、庶民のヒーローとして駆け抜けた男の生き様を、粋でいなせな江戸の情緒と共に楽しむことができます。読後感が爽やかな、痛快時代小説です。

まとめ：吉川英治の小説を読んで壮大な歴史の世界に浸ろう

吉川英治のおすすめ小説ランキングTOP20をご紹介しました。気になる作品は見つかりましたでしょうか。

吉川英治の作品は、歴史上の人物や出来事を、現代に生きる私たちにも共感できる普遍的な人間ドラマとして描き出しています。その魅力は、時代を超えて多くの読者の心を捉え続けています。

長編大作が多いですが、どの作品も一度読み始めれば、その面白さにページをめくる手が止まらなくなるはずです。ぜひこの機会に吉川英治の小説を手に取り、壮大な歴史の世界に浸ってみてください。