皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
人間の心の闇を鋭くえぐり出す作風で、多くの読者を虜にしている小説家、沼田まほかる。その作品は、読後に嫌な気分になるミステリー、通称「イヤミス」と呼ばれ、湊かなえや真梨幸子と並び「イヤミスの女王」と称されています。
沼田作品の最大の魅力は、人間の内面に潜む狂気や暗黒面を、リアルかつ克明に描き出す点にあります。愛情、憎悪、嫉妬といった感情が複雑に絡み合い、物語は予測不能な結末へと突き進むのです。その強烈な後味の悪さこそが中毒性を生み、怖いもの見たさでページをめくる手が止まらなくなります。
2004年に『九月が永遠に続けば』で第5回ホラーサスペンス大賞を受賞し、56歳で作家デビューを果たした遅咲きの作家ですが、その衝撃的な内容は多くの読書家を震撼させました。主婦、僧侶、会社経営といった異色の経歴を持つ彼女だからこそ描ける深層心理は、あなたを“まほかるワールド”へと引きずり込むことでしょう。
ここからは、数ある沼田まほかる作品のなかから、特に読んでほしいおすすめ小説をランキング形式で6作ご紹介します。
「イヤミスの女王」が紡ぎ出す、心をえぐる物語の数々。どの作品も一度読んだら忘れられない強烈な印象を残すものばかりです。初めて沼田作品に触れる方はもちろん、次の一冊を探しているファンの方も、ぜひ参考にしてください。
数ある沼田作品の中でも、最高傑作との呼び声も高いのが『ユリゴコロ』です。2012年に第14回大藪春彦賞を受賞し、同年の本屋大賞にもノミネートされたことで、「まほかるブーム」の火付け役となりました。
物語は、ある一家で見つかった一冊のノートから始まります。そこには、殺人を心の拠り所として生きてきた美紗子という女性の、衝撃的な半生が綴られていました。人間の根源的な愛と罪を問いかける、悲しくも美しい物語です。2017年には吉高由里子さん主演で映画化もされ、大きな話題を呼びました。ミステリーとしての完成度も非常に高く、幾重にも重なる謎が解き明かされていく展開は圧巻です。
本作の無機質な語り口からは、作者の覚悟を感じざるを得ない。人間の本質に迫る傑作だ。
『ユリゴコロ』と並び、沼田まほかるの代表作として知られるのが『彼女がその名を知らない鳥たち』です。こちらも2017年に蒼井優さん、阿部サダヲさんのダブル主演で映画化され、その衝撃的な内容で観客に強烈なインパクトを与えました。
下品で不潔な男・陣治と暮らしながら、8年前に別れた男・黒崎を忘れられない女・十和子。彼女の周りで起こる失踪事件を軸に、登場人物たちの歪んだ愛と執着が描かれます。誰一人として共感できる人物がいないにも関わらず、物語から目が離せなくなるのは、沼田まほかるならでは。ラストに明かされる驚愕の真実と、究極の愛の形に、きっとあなたも打ちのめされるはずです。
わたしは十和子の気持ち、少しわかるかも…。愛っていろんな形があるんだなって考えさせられちゃう作品だね。
沼田まほかるの記念すべきデビュー作であり、第5回ホラーサスペンス大賞を受賞した作品です。
大学院生の「僕」が、盲目の少女・瑠璃の朗読ボランティアを始めたことから、奇妙な出来事に巻き込まれていく物語。失踪した息子を探す母親・佐知子の一人称で語られますが、彼女の自己愛の強さや他責的な性格が、じわじわと読者の心を侵食します。閉塞感と不穏な空気が全編を支配し、じっとりとした恐怖を味わうことができます。
デビュー作でこの完成度はすごいよね。人間の嫌な部分がリアルすぎて、読んでてちょっと疲れちゃったかも…。
沼田まほかるの“イヤミスワールド”を気軽に味わいたいなら、9つの物語が収録された短編集『痺れる』がおすすめです。
日常に潜む人間の狂気や心の闇をテーマにした物語が詰まっており、どの話も強烈な後味の悪さを残します。短編ながら、一つひとつの物語が重く、人間の哀しみや絶望が深く描かれています。沼田まほかる入門編としても最適で、彼女の作風の神髄に触れることができる一冊です。
短編集だからサクッと読めるのに、心に残る重さは長編並み!いろんなイヤミスが楽しめてお得な感じがするよ。
「イヤミス」のイメージが強い沼田作品ですが、『猫鳴り』は少し毛色の違う感動的な作品です。物語の根底には、沼田まほかるらしい人間の罪や暗い部分が描かれつつも、そこはかとない救いや感動が感じられる一作となっています。
元製薬会社の研究員だった主人公が、認知症の母親の介護をきっかけに、かつて自分が捨てた猫と再会し、過去の罪と向き合っていく物語。介護や家族という重いテーマを扱いながらも、希望を見出せるラストは、多くの読者の涙を誘いました。「不気味じゃない、おどろおどろしくないまほかる作品」として、ファンの中でも特別な位置を占める作品です。
イヤミスだけじゃないんだ…って感動しちゃった。切ないけど、どこか温かい気持ちになれる、そんなお話だよ。
山間の限界集落に古くから伝わる「アミダサマ」という不気味な風習をテーマにした、ホラー色の濃いミステリーです。閉鎖的な村社会で巻き起こる、人間の狂気を描いています。
都会から村へやってきた主人公が、村を支配する異様な風習と、それに翻弄される人々の姿を目の当たりにしていく様は、まさに悪夢のような展開です。沼田作品の中でも特に後味が悪く、救いのない物語として知られています。閉鎖的な空間でじわじわと追い詰められていくような、息の詰まる恐怖を体験したい方におすすめです。
本作が描き出す閉鎖的共同体における因習の恐怖は、人間の深層心理に根ざす普遍的な不安を喚起させる。実に興味深いね。
「イヤミスの女王」沼田まほかるのおすすめ小説をランキング形式でご紹介しました。どの作品も、人間の心の奥底に潜む闇や狂気を容赦なく描き出し、読者に忘れがたい読書体験をもたらします。
後味の悪い結末や救いのない物語も多いですが、それこそが沼田作品の真骨頂。日常に潜む恐怖や人間の本質に触れたいとき、ぜひ彼女の作品を手に取ってみてください。一度読めば、その中毒性の高い世界観から抜け出せなくなるはずです。