【2025年最新】又吉直樹の小説おすすめランキングTOP10

はじめに：芸人にして芥川賞作家、又吉直樹の小説世界

お笑いコンビ「ピース」のボケ担当として知られる又吉直樹さんですが、今や日本を代表する作家の一人としても活躍しています。1980年に大阪府寝屋川市で生まれ、幼い頃から読書に親しんできました。その文学への深い造詣は、彼の生み出す作品に独特の世界観を与えています。

2015年には、初の本格的な純文学小説『火花』で第153回芥川龍之介賞を受賞し、お笑い芸人初の快挙として大きな話題となりました。彼の作品は、人間の内面の葛藤や矛盾、日常に潜むおかしみや切なさを繊細な筆致で描き出すのが特徴です。芸人として人間を観察し続けてきた鋭い視点が、小説の世界でも遺憾なく発揮されています。

又吉直樹のおすすめ小説・エッセイランキングTOP10

ここからは、又吉直樹さんの数ある著作の中から、特におすすめの作品をランキング形式でご紹介します。芥川賞を受賞した純文学作品から、彼の思考の源泉に触れられるエッセイ、さらには人気絵本作家とのコラボ作品まで、幅広くランクインしました。

どの作品も、又吉さんならではの視点と、言葉へのこだわりが光るものばかりです。このランキングを参考に、あなたの心に響く一冊を見つけてみてください。

1位『火花』

又吉直樹さんの名を世に知らしめた代表作であり、第153回芥川龍之介賞を受賞した純文学小説です。物語は、売れない若手芸人の徳永が、天才肌で破天荒な先輩芸人・神谷と出会うところから始まります。二人は師弟関係を結び、お笑いの世界で成功を夢見てもがきますが、現実の壁が立ちはだかります。

夢と現実の間で揺れ動く若者の葛藤、才能への嫉妬、そして芸人同士の濃密な人間関係が、切実かつリアルに描かれています。単行本は大きな話題を呼び、累計発行部数は300万部を超える大ベストセラーとなりました。Netflixでドラマ化、さらに映画化もされ、多くの人々の心を掴んだ作品です。

2位『劇場』

『火花』に続く、又吉さん2作目の小説です。演劇の世界を舞台に、不器用で人間関係をうまく築けない劇作家・永田と、彼を献身的に支える恋人・沙希の恋愛模様が描かれています。創作活動の苦悩と、恋愛におけるすれ違いや痛みが、痛々しいほどにリアルに綴られています。

夢を追いかける男性の純粋さと、それに振り回されながらも愛情を注ぎ続ける女性の姿は、多くの読者の共感を呼びました。恋愛の美しさだけでなく、その残酷さやもどかしさをも描き切った、切なくも胸に迫る恋愛小説です。この作品も映画化され、話題となりました。

3位『人間』

又吉さんが初めて新聞で連載した長編小説で、これまでの作品とは一味違った深みを感じさせます。物語は、38歳になった元お笑い芸人の永山が、かつて共に活動した仲間たちとの過去と現在に向き合う姿を描いています。

テーマは「人間とは何か」。若者だった頃の純粋な創作への情熱と、大人になるにつれて直面する現実や人間関係の変化が、繊細な心理描写とともに綴られます。青春の終わりと、その後の人生をどう生きていくのかを問いかける、重厚な一冊です。

4位『東京百景』

又吉さんが上京してから約10年間の日々を綴った、私小説的なエッセイ集です。井の頭公園、高円寺、神保町といった東京の様々な街を舞台に、若き日の貧乏生活や、芸人としての葛藤、何気ない日常の風景が100編の物語として描かれています。

後の大ベストセラー『火花』の原点とも言えるエピソードが散りばめられており、ファンにとっては必読の一冊です。又吉さんの目に映る東京の風景と、そこで暮らす人々の姿が、ユーモアと哀愁を帯びた文章で生き生きと描き出されています。

5位『第2図書係補佐』

読書家として知られる又吉さんならではの、異色の書評エッセイ集です。雑誌『ダ・ヴィンチ』での人気連載をまとめたもので、古今東西の様々な本を又吉さん独自の視点で読み解き、その魅力を語っています。

単なるあらすじ紹介にとどまらず、本の内容から自身の経験や思索へと展開していく自由なスタイルが特徴です。太宰治や芥川龍之介といった文豪から、漫画や絵本まで、取り上げるジャンルの幅広さも魅力の一つ。この本を読めば、新たな本との出会いがきっとあるはずです。

6位『月と散文』

2023年に発売された、10年ぶりとなるエッセイ集です。オフィシャルコミュニティ『月と散文』での連載をまとめたもので、日常のふとした瞬間から着想を得て、思索を深めていく又吉さんの思考の過程を垣間見ることができます。

何気ない風景や出来事に対する鋭い観察眼と、そこから紡ぎ出される文学的な文章は、まさに又吉ワールドの真骨頂。小説とはまた違った形で、彼の繊細な感性や知性に触れることができる一冊です。

7位『夜を乗り越える』

又吉さんが様々な分野の第一線で活躍する著名人たちと語り合った、貴重な対談集です。対談相手には、作家の西加奈子さん、詩人の谷川俊太郎さん、脳科学者の茂木健一郎さんなど、多彩な顔ぶれが並びます。

「創作」や「人生」といった普遍的なテーマについて、それぞれの専門分野からの深い洞察が交わされる対話は、非常に知的で刺激的です。又吉さんの聞き手としての才能や、彼の思考の源泉に触れることができる、知的好奇心を満たしてくれる一冊です。

8位『その本は』

人気絵本作家のヨシタケシンスケさんとコラボレーションした、ユニークな一冊です。「本」をテーマに、又吉さんが考えた様々なお題に対して、ヨシタケさんがイラストで答えるという形式で構成されています。

「王様しか読めない本」や「すごく悲しい本」など、奇想天外な発想と、ユーモアあふれるイラストが絶妙にマッチしています。子供から大人まで、本が好きなら誰でも楽しめる、遊び心に満ちた作品です。

9位『カキフライが無いなら来なかった』

作家のせきしろさんとの共著による、食をテーマにした異色のエッセイ集です。日常の食にまつわる風景や出来事を、自由律俳句のような短い文章と、それに続くエッセイで綴っています。

又吉さんとせきしろさんの独特の感性で切り取られた食の風景は、思わずくすりと笑ってしまうものばかり。何気ない食事の時間が、少し愛おしく思えてくるような、ユーモアあふれる一冊です。

10位『まさかジープで来るとは』

こちらも、せきしろさんとの共著によるエッセイ集です。『カキフライが無いなら来なかった』と同様に、日常に潜むおかしな瞬間や、ちょっとした違和感を短い文章で切り取っています。

二人の掛け合いのような文章は、独特のリズム感とシュールな笑いを生み出しています。くだらないけれど、なぜか心に残る言葉の数々。移動中や休憩時間など、ちょっとした隙間時間に読むのにもぴったりな一冊です。

又吉直樹の原点を辿る：影響を受けた3冊の小説

又吉直樹さんの作品を深く味わうためには、彼がどのような本を読んできたのか、その文学的なルーツを知ることも一つの鍵となります。彼は多くのインタビューやエッセイで、自身の血肉となった本について語っています。

ここでは、特に又吉さんが影響を受けたと公言している3冊の小説をご紹介します。これらの作品を読むことで、又吉文学の根底に流れるテーマや思想を、より深く理解できるかもしれません。

太宰治『人間失格』

又吉さんが最も影響を受けた作家として挙げるのが太宰治です。中でも『人間失格』は、100回以上読み返しているというほど、彼の人生にとって重要な一冊となっています。主人公・大庭葉蔵の、人間社会に対する恐怖や疎外感、そして自意識の葛藤は、又吉さん自身の幼少期の経験とも重なる部分があったと語られています。

人間の弱さや醜さから目をそらさずに描き切る太宰の作風は、又吉さんの小説における人間描写の深さに、間違いなく大きな影響を与えています。又吉作品の根底に流れる「生きづらさ」というテーマを理解する上で、欠かせない一冊と言えるでしょう。

芥川龍之介『戯作三昧・一塊の土』

芥川賞を受賞した又吉さんにとって、芥川龍之介もまた特別な存在です。数ある芥川作品の中でも、特に『人間失格』と並べて「いちばん読み返した」と語っているのが『戯作三昧』です。

この作品は、江戸時代の戯作者・滝沢馬琴を主人公に、芸術と生活の間で葛藤する創作者の苦悩を描いています。芸の道を追求することの崇高さと、それに伴う孤独や犠牲。このテーマは、『火花』や『劇場』で描かれる芸人や劇作家の姿にも通じるものがあります。創作に人生を捧げる人間の業を、又吉さんは芥川文学から深く学んだのかもしれません。

遠藤周作『深い河』

又吉さんは、遠藤周作の『深い河』について、「宗教に対する子どもの疑問に答えを与えてくれた」と語っています。この小説は、インドのガンジス河を舞台に、様々な過去や苦しみを背負った日本人たちが、救いを求めて旅をする物語です。

人生の苦悩や罪、そしてそれを包み込む存在とは何かという、キリスト教文学の大家である遠藤周作ならではの重厚なテーマが描かれています。人間の存在そのものを根源から問うこの物語は、又吉さんが作品を通して描き続ける「人間とは何か」という問いに、大きな示唆を与えた一冊と言えるでしょう。

まとめ：又吉直樹のおすすめ小説ランキングを参考に、心揺さぶる一冊を

今回は、芸人にして芥川賞作家・又吉直樹さんのおすすめ小説やエッセイをランキング形式でご紹介しました。夢と現実の間でもがく若者の姿を描いた『火花』から、日常の可笑しみや哀愁を切り取ったエッセイまで、その作品世界は非常に多彩です。

どの作品にも共通しているのは、人間という存在への深く、そして優しい眼差しです。不器用で、矛盾を抱えながらも懸命に生きる人々を、又吉さんは決して突き放すことなく、そのありのままの姿を肯定しようとします。ぜひこのランキングを参考に、あなたの心に寄り添う一冊を見つけて、又吉文学の奥深い世界に触れてみてください。